| 〈大日本スクリーン様 「印刷経営イノベーションの最前線」より〉
下請けに徹しながら顧客の期待に応え、新たな印刷物にもチャレンジ 「地元の印刷業界の人たちにお世話になってここまできたのだから、“ちび輪”を使ったチラシ主体の営業スタイルを変えるつもりはない。下請けに徹し、さらなる顧客満足の向上を目指したい」と宮本誠社長(38歳)。自社を“印刷工場”(printing factory)と位置付け、栃木県内を中心とする印刷関連企業からのアウトソーシングに対応する。UV印刷機を導入し、販促用の印刷物に利用するケースも増えたが、これも取引先からの要望に応えるためのものだ。得意分野での世界最速を目指し、自ら進むべき道を極めていく。 ※大日本スクリーン様から出版「印刷経営イノベーションの最前線」の取材記事からの掲載 |
| “印刷工場”を標榜 |
| 株式会社みやもとの売り上げの約8割は、チラシを中心としたいわゆる下請け仕事。しかも、小ロットの印刷物が圧倒的に多い。地元の印刷会社、広告代理店、デザイン会社などから受注するこのような仕事を高品質・短納期で納入。これにより、「みやもと」は成長してきた。 印刷からのアウトソーシングに徹したいという意思の表れとして、2003年に有限会社宮本写植製版所から「株式会社みやもと」に社名を変更すると同時に、“printing factory(印刷工場)miyamoto”を標榜。電話が鳴ると、社員たちは「はい、“印刷工場”みやもとです」とテキパキと応対する。 最大の強みは、“ちび輪”と呼ぶB3のオフ輪を4台もそろえていることだ。これだけの台数の“ちび輪”をそろえている会社は全国でも類を見ない。これらを駆使して、小ロットの印刷物やチラシの店名差し替えなどもスピーディーに対応し、高品質に刷り上げていく。 機械の増設が必要になったとき、宮本社長は、一時はB2オフ輪の導入も考えたという。しかし、地元から発注されるチラシ類で本当にB2でなければならない仕事がどれだけあるのか。無理して大きな輪転機を入れるより、小ロットに的を絞り、効率良く顧客ニーズに対応した方がいいのではないか。そう考え、オフ輪はすべて“ちび輪”にした。 一般のオフ輪と枚葉印刷機の中間を狙ったこの戦略がズバリ当たり、“ちび輪のみやもと”は県内で確たる地位を築いている。 |
| 身の丈に合った経営を貫く |
| みやもとは、もともと写植専業からスタートした。創業当初から新聞広告関係の仕事が多く、発注元の広告代理店から勧められて製版も手掛けるようになり、「宮本写植製版所」に社名を変更した。1978年には印刷部門を開設。オフセット枚葉機を導入して、折り込みチラシなどの印刷物の受注を開始した。 “ちび輪”を最初に導入したのは1988年。その後、チラシ印刷の需要がさらに増加したため、栃木県内の2カ所にオフ輪工場を建設し、合計4台のチビ輪を使って地元の印刷ニーズに即応。特に、鹿沼工場は高速道路のインターチェンジに近く、首都圏の印刷会社からも小ロット印刷の発注依頼が多くなってきた。 宮本社長は「当社は伝統的に身の丈に合った経営を心掛けている。必要以上に背伸びするつもりはありません」と語る。 写植の仕事を受ければ版下が必要になるため、制作部門を開設した。製版部門を強化するためにDTP化にも早期に取り組み、小ロット多品種に効率的に対応しようと、フィルムセッターやCTPの導入も県内では最も早かった。さらに、100部から200部程度の印刷物にも対応するためオンデマンド印刷機も導入した。 |
| UV印刷で顧客対応力の強化とイメージアップを |
| 取引先の6、7割は栃木県内の印刷関連企業。ところが、印刷物の需要減少に伴い、オフ輪を持つ会社が少部数のペラ物チラシを手掛けるようになったほか、枚葉機を得意とする会社がロットの大きな印刷物でも受注するようになった。 「われわれは県内の印刷関連企業との信頼関係でここまでくることができたのですから、できれば県内の仕事だけでいきたい。でも、最近ではだんだん居場所があるのかないのか分かりにくい状況になってきた」と宮本社長。 県内の需要が減った中で、首都圏での営業強化を視野に入れると同時に、チラシ以外の分野の事業展開にも乗り出した。その一つが、2006年に始めたUV印刷だ。これは、取引先のデザイン会社からUVの印刷物を見せられ、「こんなものはできないか」と尋ねられたのがきっかけだった。 「時代の流れとして、デザイン性が高く、しかもユポ紙などの合成紙やアルミ蒸着紙、フィルムなどへの高付加価値印刷が必要になってきた」 栃木県内では商業印刷用のUV印刷機を持つ会社は少ない。そのため一から勉強しながらノウハウを積み重ねてきた。UV印刷機を導入する前は、取引先から化粧箱などへのUV印刷を相談されても断らざるを得ない状況だったが、今では仕事のバリエーションが広がり、疑似エンボスとニスコーティングを組み合わせた新しいスタイルの印刷物を提案。得意先に満足される場面も増えてきた。 |
| 若手とベテランの橋渡し役に |
| UV機を導入したのは、これを使ってさらにもうけようというのではない。それより、まずどんな仕事にも対応できるという顧客への宣伝効果。また、新たな印刷物にチャレンジすることによる人材育成・教育面での効果も大きい。 「UV印刷を始めるようになって、お客様からUVの活用方法についてさまざまなアイデアを頂けるようになった。今はそれを実現させるために努力しているところで、特に変わったことをしているつもりはありません」 印刷業界では、若手社員の育成が大きな課題になっている。例えば、20代から30代の若い世代は、機械の操作は得意だが印刷そのものの仕組みに関する知識に疎い。逆に、50〜60代のベテラン技術者は、コンピューター関連の知識が少ない。アナログの世界もデジタルの世界も経験している宮本社長は、今後ベテラン社員と若手社員の間に立って、会社をより円滑に運営していけるように橋渡し役を務めたいという。 同社が毎月1回発行している“宮本通信”は、主として取引先である印刷関連企業の若手社員に印刷業界の最新動向を紹介し、少しでも何かを感じてもらえればと思って始めたもので、2007年5月で54号を数える。 「みやもとは栃木県の印刷業界で、短納期を実現する小回りの利く下請けとして信頼されてきた会社。印刷の仕事は非常に面白いし、奥が深い。まだまだやるべきこと・できることはいっぱいある。わたしは下請けを誇りに思っていますので、これからもまじめに取り組んでいくだけです」 今後の目標は、自社で受けた仕事に関しては世界最速を実現すること。人一倍印刷に対する誇りと愛着を持つ宮本社長だけに、“ちび輪”とともにさらなる成長過程を地道に歩んでいくことだろう。 |
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■この記事内容は大日本スクリーン様から出版された「印刷経営イノベーションの最前線」の取材記事からの掲載になります。大日本スクリーン様のご厚意により転用させて頂きました。 |
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